僕が幼稚園に入園してから間もなくのある夜でした。
「痛い痛い痛い!!!」
兄がお腹を抱えて苦しんでいるのです。
両親も飛び起きて、様子を見に来ました。
とても普通の状態じゃない。
兄の額からは汗がボタボタと落ち、顔は苦痛に歪んでいました。
「救急車だ!救急車!」
父親が叫びました。
急いで救急車を呼ぶ母。
待っている間も苦しむ兄。
どうする事も出来ない自分。
そんな混乱した中で救急車が来て、兄は病院へ搬送されました。
病名は「水腎症」。
死ぬ事は無いけれど、腎臓を一つ摘出しなければならない程の大病でした。
それから母は兄に付きっ切りになりました。
国立の病院へ入院しなければならない程の症状だったそうです。
兄はお腹から背中に掛けて、大きな手術痕が残る手術をしました。
その後も点滴だけの生活が一ヶ月ほど続いたそうです。
チューブだらけの兄を見て、父は初めて家族の前で泣きました。
とにかく助かってよかった。
その思いが家族を包みました。
その手術が原因で家庭が崩壊するなんて誰も知らずに。