兄は大手術を終え、無事に帰宅しました。
それでも完治するまで9年も掛かりました。
手術痕も背中からお腹にかけてと大きなものでした。
それでも何とか繋ぎとめた命に親は喜んでいました。
あれは兄が小学校二年生ぐらいの時だったと思います。
お腹の傷が原因で兄は学校で虐め始められました。
プールの授業の時だったそうです。
傷を同級生が見てからかい始めたのだそうです。
その日、兄はとても落ち込んで帰ってきたのだそうです。
でも、親にも兄弟にも何も言いませんでした。
言えなかったのでしょう。
病気でたくさん心配を掛けたから、これ以上迷惑を掛けるのはやめようとしたのだと思います。
でも、その努力はすぐに泡となります。
兄は毎晩、悪夢にうなされる様になったのです。
親は最初は病気の事がトラウマになっているのだと思っていました。
ですが、兄が寝言で言っていたのだそうです。
「この傷がそんなに面白いのか!」と。
三人兄弟の内、一番最初に壊れたのは長男でした。