2007年6月14日木曜日

殺人未遂の夜に 

気が付くと、僕は中学生でした。

小学校高学年~中学生前半までの記憶が無いんです。

学校の事は覚えています。

家の事だけ記憶が抜け落ちているのです。

病院で聞いたところ、解離性健忘というものらしいですが。






気が付くと中学生の僕が居ました。





僕は五歳から武道をやっていました。

中学生にもなると、長男よりも強くなっていて暴力を振るわれる事はありませんでした。







僕に残っていたものは激しい怒りだけでした。






何があろうと長男と両親を殺すんだ、と思っていました。

怒りだけで生きていたのでしょう。

何度も言いますが、今はそんな事は思ってません。

けれど、当時は本気でした。

僕の流した血の分、奴らにも血を流させてやる、と思っていました。






ある日の事でした。




何が原因かは解かりません。

長男と喧嘩をしたんです。

喧嘩はエスカレートし、僕の怒りは頂点に達したのでしょう。







近くにあったスパナで長男の頭を殴りつけました。






長男は倒れ込み、頭からは大量の血が出ていました。

うめき声を上げながらうずくまる長男を見て、僕は高笑いしていました。






これでやっと一人死んだ!

殺してやった!

苦しみながら死んでいけ!





そんな事を思っていました。

長男は失神していましたが、命には全く別状が無い程度の怪我でした。

血が大量に出た事で死んだと勝手に決め付けていたようです。






しばらく僕は放心状態でした。




血塗れで倒れこむ長男を見て、ただ呆然としていました。

これで一人殺した・・・。

実の兄を殺してしまった。






「あと二人・・・。」




小さな声で言ったのを覚えています。

親が帰ってきてからの事はあまり覚えてません。

ただ、兄の傷は大したことは無く、生きている。

それしか覚えていません。













殺人未遂をした夜でした。