受験が終わり、卒業も目の前になった二月後半。
僕は全く卒業の実感がありませんでした。
卒業と共に、僕は引っ越す事になっていました。
あまりの治安の悪さに両親が耐えかねたのです。
後輩が母親を殺してしまったんです。
僕の両親が知らない所で近い事は沢山あったので、僕は大して驚きませんでしたが。
それをキッカケに両親は引越しを決めました。
僕の地元は少し変わった所でした。
幼稚園から中学卒業までメンバーが変わらないんです。
狭い地域だったので、メンバーの移動が無かったんです。
みんなが幼馴染みたいなものでした。
高校に入れば、中学を卒業すればみんなと毎日会えない・・・。
そんなの信じられなかった。
もはや兄弟とも言える友達との別れ。
会おうと思えば会えますが、毎日会える訳じゃない。
いつもみたいに下らない話で騒げる訳じゃない。
たまに会う程度になってしまうんだ・・・。
涙を流して家族の事を打ち明けてくれたS。
リスカをして泣いて電話してきたN。
それを抱きしめて慰めた僕とH。
いつも夜中から夜明けまで話したU。
唯一、僕が家庭の事を打ち明けたK。
いつも何かと支えてくれたR。
さりげなく励ましてくるA。
何も言わず、隣りに居てくれたM。
大好きだった保健室の先生。
何より、初恋の相手Y。
そんな人達のとの別れなんて信じる事が出来なかったのです。
大げさだと思いますか?
だけど、僕にとってはとても大きな衝撃だったのです。
それは本当に・・・大きな衝撃だったんです。
家庭で限界まで溜めたストレスを、唯一発散させてくれたのは友達でした。
誰にも言えない心の傷を、言わなくても理解してくれたのは友達でした。
同じ悩みを持って、励まし合い、支え合ってきたのは友達でした。
普段、能面のような顔の僕に涙の流し方を教えてくれたのは友達でした。
一緒に泣いてくれたのは友達でした。
僕の心が安らぐたった一つの場所が友達でした。
辛い時も、楽しい時もいつも傍にいてくれたのは・・・友達でした。
隣りに友達が居ない事なんて想像出来なかった。
引っ越しで帰る場所が地元じゃないなんて信じられなかった。
新しい友達なんていらない。
ただ、この友達が傍に居てくれさえすれば何もいらない。
僕は放心状態になったまま、三月を迎えました。