過去の家庭の記憶が殆ど無くなった状態で僕は高校へ通いだしました。
残ったものは重くのしかかる自殺願望と、体中に残った家庭内暴力の傷跡とリストカットの傷跡でした。
家庭に恵まれていない事だけはハッキリと覚えていましたが。
高校で新しい友達を作る気持ちにはなりませんでした。
恵まれた家庭に産まれた奴らに何が解かるんだ。
そんな事を思っていました。
地元の友達はみんな複雑な家庭に産まれた子ども達でした。
だからこの傷の痛みを理解してくれた。
だけど、高校の奴らなんて殆ど恵まれてるんじゃないか?
普通の親、普通の兄弟、普通の家庭。
それは憎しみにも似た、憧れだったのでしょう。
自分に無いものを持っている人への憧れだったのだと思います。
けれど当時はこれほど冷静では無く、同世代の人間に対する激しい憎しみを抱いていました。
そしてリストカットの傷跡だけは見られないように警戒しながら生活していました。
疲れていました。
多分、疲れきっていたのだと思います。
自殺願望は日を増すごとに強くなりました。
そんな時、卒業の時に保健室の先生に言われた言葉が頭を過ぎりました。
「のり…これから先何があっても死んだら絶対ダメだよ!」
あぁ、死んだらいけない、そう思いました。
死んだような目で高校生活をしていました。
友達なんていらない。
何もいらない。
体も、お金も、命も。
全身で生きる事を拒否していました。
そんな事を思いながら高校生活は一ヶ月を過ぎようとしていました。
そんな時、僕は担任に呼び出されました。