2007年6月7日木曜日

呪いの言葉

兄の自殺未遂から一夜明けて。

次の日、僕は何も無かったかのように学校へ行き、騒ぎ、いつも通りを装いました。

兄の事は誰にも言えなかったです。

言うつもりもありませんでした。








家の事は絶対に口外しない。







家族の事は口には出さないし、外では仮面を被った自分を装う事を誓いました。

友達には何も語るまいと思いました。

ただ、騒いでだけいれれば良い、家の事を少しでも忘れられれば良い。

そう思っていました。








それでも、家には毎日帰らなくてはならなくて。







家に帰れば長男の暴力の嵐が僕を待っていて。

リモコンで殴られる日もあれば。

棒で殴られる日もあれば。

紐で首を絞められて失神させられる日もあれば。

食事出来ない程に口が切れる日もあれば。

骨が折れる日もあれば。

歯が欠ける日もあれば。









夜になれば酒に酔った両親が暴れだし。







子ども部屋に篭り、涙を流し。

ただただ、時間が過ぎて行く事を願う日々。








その頃の僕の夢は両親と長男を殺す事でした。







積もりに積もったこの恨みを、体で償ってもらおうと。

もちろん、今はそんな事は思っていません。

ですが、当時は本気で思っていたんです。

高校一年になったら、両親と長男を殺し、家を燃やす事。

怒りが強く、僕の心を支配していました。













気が付けば僕は中学生になっていました。

2007年6月5日火曜日

星が綺麗な夜に

午前二時、長男が行方不明になりました。

家に居ない。

こんな時間に何処へ・・・。

学校で虐められる長男。







全員の頭に最悪なシナリオが浮かびました。






全員で外へ出て探しました。

いない、何処にもいない。





すると、団地の屋上に兄の姿が・・・。





走って屋上まで行くと兄はボーっと空を見上げていました。

息を切らしながら兄に言いました。






「死ぬんじゃねぇ!!それだけは絶対にダメだ!」





すると兄は答えました。





「ただ・・・空を見ていただけだよ。」と。





嘘を付くな。

お前の引き出しに入っている遺書が見つかってないとでも思っているのか?

飛び降りるつもりだったんだろう?

そこまで限界だったんだろう。






我が家は非常に複雑でした。





毎晩酒によって暴れる両親。

毎日、僕を殴り続ける長男。

母親から虐待をされる三兄弟。

自殺未遂した僕と長男。






家庭は完全に崩壊していました。












その次の日、僕はある感情を強く感じる事になります。

2007年6月4日月曜日

新月の夜に

家庭で荒れ狂う長男。

両親の喧嘩もドンドンと過激になっていきました。





「お前の血なんか受け継いでるから、あんな出来損ないが出来たんだよ!!」




「アンタが酒乱だからあんな子が出来たのよ!私のせいにしないでよ!」





そんな会話が繰り返される毎日。

僕達兄弟の心はもう・・・元へ戻る事は無かったのでしょう。

傷つく事に慣れる事はありませんでした。

心の傷は底なしに深くなっていきました。






産まれて来なければ良かったの?




生きていちゃいけないの?




俺達が居るから両親はこんな喧嘩をしなくちゃいけないの?





そんな思いが全身を包んでいました。

多分、兄弟全員が同じ思いだったのでしょう。

毎晩、リビングで喧嘩が始まると子ども部屋に閉じこもり、三人で泣いていました。





ただただ、泣いていました。




響き渡る両親の怒声。

涙はとめどなく流れていきました。






そんなある夜の事でした。






深夜、二時ぐらいだったと思います。













兄が行方不明になりました。

2007年6月3日日曜日

潰された心

毎晩続く両親の喧嘩。

子どもを殴る父親。

機嫌を損ねると食事を与えず、殴る母親。

止まらない長男への虐め。

長男の家庭内暴力。

僕の自殺未遂。

虐めを見てみぬ振りをする教師。






僕を取り巻く環境はそういったものでした。





ある日の事でした。

兄は帰ってくるなり僕を殴りつけました。

兄の体はアザだらけでした。

学校でやられたのでしょう。

完全に狂っていました。






殴られ続ける僕はあの夜の事を思い出しました。






そう、万引きをした夜に母親に殴られ続けたあの夜を。

あの時と同じ感覚。

自分が自分では無くなる感覚。






どれぐらい時間が経ったでしょう。





気が付くと兄の暴力は止んでいました。

僕は倒れこみ、全身を殴られた痛みで動く事ができませんでした。

その時、僕の骨は折れていました。







その日を境に兄の僕に対する暴力は毎日続きました。







日課と言った方が良いかも知れません。

もちろん、両親は無関心でした。

彼らは彼ら自身の事で精一杯だったようです。

喧嘩ばかりしている親。

僕がいくら殴られようが関係無かったのでしょう。

アザだらけになる体、壊れていく心。






毎日続く両親の喧嘩と兄からの暴力。





もうその頃には自殺願望以外の感情は感じなくなっていました。

ただ、死にたいと思っていました。





あの時に殺されたかった。




こんな辛い思いをするぐらいなら死んでしまいたかった。

自分が自分では無い感覚もありました。

まるで自分がロボットのように感じるのです。

感情が無くなり、何にも反応しなくなりました。






それでも学校では明るく振舞いました。





ただ騒いで、学級崩壊をさせて。

家に帰るとまるで人形のように殴られ、倒れる。

そんな日々が続いていました。






全てを呪って生きていました。





誰も助けてくれない。

誰にも言えない家庭内暴力。

両親の喧嘩。

親から浴びせられる罵声と暴力。













そんな日々が続いていたのは僕が10歳の時でした。