2008年1月1日火曜日

氷点

あの頃の僕の精神は非常に不安定でした。

何も感じない時がほとんどでしたが、急に涙が溢れる事があったり。

何も感じない時を言葉で表すなら、「凍った心」だと思います。

氷のように固く、冷たい心でした。

自分で自分が解からない。

ただ激しい自殺願望だけは消える事はありませんでした。







そして去年の八月。






忘れもしない。

外での用事を済ませ、帰る途中でした。

時間は夕暮れ。

夏の夕暮れらしく、空は紫色になっていました。

歩きながらふと目に入ってきたものがありました。








それは家族でした。







僕は彼らを後ろから見ていました。

父親と母親の間で小さな男の子が手を繋いで歩いていました。

その後姿はとても幸せそうに見えました。

なんとなく足が止まって、見つめてしまいました。

母親が片手に買い物袋を持っていました。

これから夕食を作るのでしょう。

ありふれた普通の家族でした。









夕日を正面にして、歩くその姿はとても綺麗だった。








そしてその家族は道を曲がって僕の視界から、ゆっくりと消えていきました。

その瞬間。









涙が溢れました。









何故だろう?

今でも解かりません。

涙が溢れたんです。

羨ましかったのかもしれません。

自分もあぁやって歩きたかったのかもしれません。

単純な憧れだったのかもしれません。











僕の心の傷を優しく包んでくれたような気がしました。















心はゆっくりと氷点から這い上がろうとしていました。